願望と欲求

 結婚式は罪深い。

 人様の結婚式に赴くと、俄かに結婚願望がむくむくと沸いて出てくる。こんな風に皆に祝ってもらいたい。あんな風に誰かに愛されたい。ああいう風に綺麗に着飾りたい。こういう風に自分の好きなように会場を飾りたい。欲望だらけの願望である。

 果たして私は結婚できて、結婚式を挙げられるだろうか。今の感じだと結婚は程遠いし、自分の勝手で結婚式を挙げられる甲斐性もない。そもそも相手もいないのだから考えたところで無駄としても、準備も面倒だし、誰を呼ぶか迷うし、ドレスを着るならあと5キロは痩せないとだし。考え始めると止まらない。

 ただ一つはっきりしている事は、まずは相手を見つけなければならない。

 

 この人と結婚したい、というのは、出会ってすぐに思う事なんだろうか。それとも、じっくりと付き合ってやっと感じる事なんだろうか。人による、という万能の言葉が欲しいのではなく、あなたはこうです、という予言者の言葉が欲しい。

 言うのも恥ずかしいが、私はこれで結構出会いの場に赴いている方だと思う。実際連絡先を交換する事も多々あった。ところがそこから先に進んだというのが無い。言い替えれば、先に進んでみたいと思う人に出会えたことがない。

 もしかしたらそれは私の早合点で、もっとゆっくりお食事でもしていけば、相手の魅力に気付いて、好きになって、結婚したいと思うようになったのかもしれない。顔が好みじゃないとか、ファッションセンスがイケてないとか、そんな些細な事で運命の王子様を逃してしまったんじゃないだろうか。出会いの場で出会った数々の異性を思い返すが、残念ながら顔と名前を思い出せる人は一人もいない。

 人生に迷うあまり、ネットの占いに課金してしまった事がある。そこで出てきたのは「あなたは恋愛のハンター。高嶺の花を狙い、相手が振り向くと相手に興味がなくなる」という一文だった。その時は奥手な私がそんな訳あるまい、と思ったが、振り返ってみると案外その通りなのかもしれない。高嶺の花が振り向いてくれたことはないが。

 

 

 出会いの場でないところでの出会いもまぁまぁある。職場である。しかし言うまでもなく諸刃の剣である。

 一度二人で歩いているのをうっかり目撃されて以来、勇ましい気持ちはすっかり萎えてしまった。世界は広いようで悲しい位狭い。噂は一日で広まる。もっと言えば8時間あれば相当に広がる。

 職場は働くための場であって、ちゃらちゃら恋愛をする場でないと私は思っている。わざわざ隣のフロアまで探しに行ってへらへら挨拶をしている場合ではない。そんなへらへらしているところも目撃されるし、やっぱりろくなもんじゃない。

 

 でも同じ職場、職種の人だと、自然と共通の話題も生まれるし、お互いの仕事に理解があるし、収入や労働形態もある程度分かるし、休みも合わせやすい。とても楽だ。

 一緒に働けば自然と仲良くなるし、仕事を通じたその人の人となりも分かって、結婚生活も見えやすいかもしれない。

 その代わり仕事の愚痴がリアル過ぎて仕事の延長になり得るのと、仕事の上での相手の欠点が見えてしまうのがキツイ。自分の情けない失敗を見られてしまうのもしんどい。やっぱり職場恋愛なんてするもんじゃない。同じ仕事でもいいからその人の噂が耳に入らない距離は保ちたい。家族経営の会社とか私だったら絶対無理だな。内部分裂して終わりだな。

 

 

 今私が考えているのは、職場に出入りするイケメンの営業さんを探す、仲良くなる、連絡先交換する、メシ行く、お互い意識する、付き合う、ゴールイン。

 2017年度中に出会って、2018年には結婚したい。

 イケメンの営業さんなんて一人も見た事ないし、そもそも結婚指輪したおじさんか綺麗めお姉さんしか見た事ないけど。がんばる。